CURLY FLATS FARM は、北海道日高町にある放牧をメインとした多畜種牧場です。
かつての姿から新しく生まれ変わったこの牧場は、北海道のなかでももっとも農業に恵まれた場所の一つである賀張山の麓、厚別川に沿った緑豊かな谷に位置しています。
厳しい寒さの中でも、雪が少ないことで動物たちは冬じゅう外の小屋で過ごすことができます。春の訪れは早く、太平洋からの暖かく湿った風が発育期に豊かな雨をもたらしてくれます。
2016年から旧競走馬牧場を手作業でリフォームすることから始め、2018年には豚4頭、羊7頭、ヤギ13頭の家畜を導入しました。リフォームとともに、家畜たちが健康で幸せな時間を過ごせるよう、新しい牧場のスタイルを導入する必要がありました。
動物も人間も、母家から放牧地の寝床まで安全に歩いていくことができるように、鹿や熊対策のフェンスが農場の外周を囲み、新しい道路が農場を縦断しています。
豚たちの放牧地はまるで周囲を牧草地や畑に囲まれた島のようになっています。
私たちはこの牧場を(近代的で大規模工場的なものより、ひとつひとつ手間と時間をかける)職人的なものにしたいと考えています。そして由緒あるバークシャー種の黒豚に加えて乳用の山羊や羊の小さな群れ、そしていずれスコティッシュ・ハイランド牛が川向こうの野原で元気に草を食む景色をめざしています。
CURLY FLATS FARMという名前は、この牧場のオーナーお気に入りの漫画のひとつの登場人物にちなんで名付けられました。
CURLY FLATS FARMでスローライフをすごすMrカーリーには、遠い異国の地での冒険や旅の疲れを癒しにたびたびカーリーフラッツに戻る、ヴァスコ パジャマ という落ち着きのない友達がいます。
オーナーはこの二人のキャラクターのどちらにも似ていて、(落ち着きなく)あてのない旅と時々仕事で飛び回りながらも、疲れを癒し、魂の修復をするために牧場に戻ることをこよなく愛しています。
この牧場はオーナーのセミ・リタイア後のスローライフの場となるはずでしたが、いつのまにか20歳のころよりもハードに働き、そしてそれを楽しんでいる自分をみつけました。
自然のサイクルを学び、動物を育て、土壌を再生し、新しいシステムを導入しながらも手作り手作業でできるだけのことをやっていく、毎日が新たな挑戦と問題解決の連続です。
農業と食物は国の安全にとって不可欠です。農家なくしては人々の日々の糧も得ることができません。
しかし長い年月のうちに北海道の農村部は、深刻な高齢化と過疎化の危機におちいり、多くの土地が放棄され休耕地となっています。
この農場は、ニュージーランド式の草地農業、環境再生型農業と北海道の気候に合った農業それぞれの良さを活かし、何らかの解決策を見出すことを目的としたオーナーのライフワークのもう一つの側面でもあります。
私たちは、家畜の成長過程や彼らを取り巻く環境、草や木々や作物、土などになるべく化学物質の使用を控え、無理な成長促進を望まず、動物本来の自然な営みを尊重しながら生産しています。
とはいえ、もっとも忘れてはならないのが、常にしなやかなバランス感覚を持ち続けることです。一つの考え方に捉われすぎないことです。
例えば成長ホルモンの注射や短期間に過度に体を大きくするような給餌の仕方はしませんが、子豚の風邪の治療のために抗生剤の注射をすることはあります。
まだ離乳していない小さな子供(子豚や子ヤギ)をカラスなどの攻撃から守るために、ある程度の大きさになるまで屋内に住まわせますが、大きくなってきたら放牧地で暮らし、土を掘ったり、草地を走り回る、その家畜本来の自然な行動を妨げないように工夫をします。